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博鰲アジアフォーラム2014年次総会サブフォーラム「シルクロードの復興:アジアの指導者による対話」での楊潔チ国務委員の講演「自信と相互信頼,協力の盛挙」
(2014年4月10日、海南省博鰲)
2014-04-11 09:16

 

   来賓の皆さん

   メディアの皆さん

   紳士淑女の皆さん

   今年の博鰲アジアフォーラム年次総会に参加できたことを非常に喜んでいる。中国と外国の同僚、各界関係者の努力により、フォーラムはアジアさらには世界で最も大きな影響力を持つ高級フォーラムの一つに成長している。この影響力はハイレベルの参加者と組織者によるもので、今回のシルクロードに関するサブフォーラムを含め、フォーラムが時代の流れと最前線の課題を的確にとらえているからでもある。この機会を借り、シルクロード構築問題を討議するため、在席の各国指導者と各界の友人が今回のサブフォーラムに出席してくれたことに感謝をしたい。

   昨年秋、習近平主席は中央アジアと東南アジア国家を訪問し、シルクロード経済ベルトと21世紀の海上シルクロードを構築する2大提案を行った。「一帯一路」と総称されるこの経済ベルトと海上シルクロードを構築する提案は、国際社会から大きな注目を集め、関係国から前向きな反応を得た。きょう午前、李克強総理は講演を行い、中国のアジア協力政策について全面的に説明、特に「一帯一路」の構築を推進していかなければならないと表明した。我々がこの問題を討議することは特に重要な意義を持っている。

   数日前、私は習近平主席に随行してヨーロッパを訪問し、ヨーロッパ各界も「一帯一路」に大きな関心を寄せ、意欲を持っていることを感じた。中国と欧州連合(EU)の共同声明は、中国とEUがシルクロード経済ベルトとEU政策の接点を共同でさぐり、シルクロード経済ベルト沿線で協力を進める問題を討議する共同イニシアチブを打ち出した。主席はドイツのデュイスブルクで重慶始発の中国とEUを結ぶ鉄道列車の到着を祝う式典に出席したが、熱烈な雰囲気のなか、シルクロードが歴史的概念ではなく、現代物流と中国EU協力を推進する新しい物語で、沿線各国人民に現実的利益をもたらすことをすべての出席者が肌で感じていた。

   古代シルクロードに対するヨーロッパの情熱は偶然なものではなく、ある側面からアジアの古代文明と現在のアジアの発展を世界が再認識したことを反映したものであり、経済のグローバル化と世界の多極化を背景にした東洋と西洋の交流と協力を反映したものでもある。

   ヨーロッパは古代シルクロードの終点だが、シルクの原産地は中国で、シルクロードのスタートラインも中国にあり、多くの重要な地域もアジアにある。中国とアジア各国人民は柴でつくった車に乗り、ぼろをまとってこの道を歩み、必死になってこの道を守ってきた。アジア各国共通の歴史と輝かしい文明を目撃してきたシルクロードは、アジア各国人民の歴史と文化の誇りの源泉であり、アジア各国の連帯と協力の旗幟でもある。

   シルクロードはアジア人の歴史と文化に自信をもたらした。2000年あまり前にシルクロードが誕生したとき、アジアにはすでに成熟した文明と生産力が育っていた。管理レベルと開放の度合いは世界をリードするもので、多くの考古発見と西側の学者もこのことを証明している。仏教、キリスト教、イスラム教などの宗教の発祥地もアジアで、シルク、瓷器、漆器、鉄器、鞍および中国の「4大発明」とインドの「アラビア数字」はかつてアジアの「特許」だった。シルクロードを通じて、アジア各国は胸襟を開き、外国の商人と学者を受け入れ、最先端の商品と技術をあますことなく提供した。

   近代に入ってからアジア国家は衰退し、列強の侵略を受け、植民地としての苦しみを味わい、海外文化の強い衝撃を受けたが、アジア国家は自国の歴史と文化を大切にし、自国の価値観の土台を守り抜いてきた。今日のアジア人は伝統的文化の中から自疆とイノベーションを進めるための栄養を摂取し、美しい歴史の新たな一章を記しており、過去の輝かしい歴史に陶酔することも、歴史の悲劇を繰り返すこともしていない。

   シルクロードは発展を促すアジア人の道に自信をもたらした。多様性と多元化はアジアの特色であり、優位性でもある。シルクロード沿線で栄えた文明、民族、国家は自身の社会的土壌と発展の軌跡を持っており、これらは平等で独自なもので、高低も優劣もない。一致を求める必要もない。多様性に依拠したからこそ、商人たちは有無相通じる目標を実現し、賢者たちは意見を交換し、学びあうことができるようになったのであり、世界も豊富多彩なものになることができたのだ。古代シルクロードは1本ではなく、複数のルートがあり、アジアとヨーロッパの広大な地域と国家をカバーしていた。このことは発展の道をさぐっている我々に啓示を与えている。

   近代に入ってから、苦しみながら強国富民の道をさぐり、多くの挫折を味わってきた仁愛深いアジアの正義の士は、発展を促す道は自国の国情にかなったものでなければならず、外国の経験を参考するにしても、そのまま導入してはならないという結論を導き出した。この認識に基づき、自力更生と国際協力に依拠し、冷戦後のアジアは経済成長の奇跡を生み出し、アジアの金融危機と世界的金融危機の洗礼を乗り越えてきた。アジア開発銀行(ADB)が発表した最新の予測報告によると、45のアジア発展途上経済体〈エコノミー〉の経済成長率は今年が6・2%、来年が6・4%で、先進国の平均成長率の2倍あまりに達する見込みだ。この数字は並々ならぬもので、アジア国家が自身の道を歩むことが正しいことを物語っており、この道はイバラの道だが、輝かしい未来が開けていることを物語っている。

   シルクロードは寛容な協力を進める自信をアジア人にもたらした。シルクロードを通じて、東洋と西洋は平和で平等な方式により多くの分野に及ぶ重層的交流を展開してきた。ユーラシア大陸は非常に早い時期に貿易ネットワークを構築し、少なからぬ利益を各国にもたらしていた。古代中国の製鉄・農耕・水利灌漑技術は西洋に伝えられ、南アジアに輸出され、周辺国家の生産力は大幅に向上した。南アジアから伝えられた医学・暦法・彫刻技術は中国において重視・運用された。百済琴とポロは古代中央アジアの遊牧民族が発明したもので、中国の音楽史とスポーツ史に大きな影響を与えた。東ティーモールのビャクダン、タイの象、ラオスの木彫、ロシアの毛皮、ヨーロッパと西アジアの釉薬、パキスタン、ミャンマー、スリランカの宝石は古代中国人に尊ばれた。

   一部の宗教と教派は陸上と海上のシルクロードを通じて中国に伝えられ、中国本土の宗教と融合し、平和的に共存してきた。古代中国と外国の使節、商人、優れた経験を吸収しようとした賢者は、シルクロード沿線住民の無私の援助を得ていた。この援助がなければ、かれらは一歩も前進できなかっただろう。

   今日のアジア国家の交通環境と物質環境は大幅に改善され、地域協力も新たな段階を迎えており、アジア国家は平和友好、開放寛容、互恵とウィンウィン(共に勝者になること)の精神を発揚し、新しい時代にふさわしい内容を注入すべきだ。

   新しい時代にふさわしい重要な内容の一つは相互信頼だ。中国人には「人は信がなければ立たず」ということわざがあり、フランスの文豪、アレクサンドル・デュマは「信頼は貴重な財産だ」と語っている。古代人が単独でシルクロードを往来することは非常に難しく、仲間と助け合うことが必要だった。海上のシルクロードを往来する場合、力を合わせて難関を乗り切り、分業・協力することがより必要だった。現在、我々の技術は日進月歩の発展を遂げているが、交通協力には依然として少なからぬ潜在的困難が横たわっており、一部のアジア国家の間では信頼を欠く状況もみられる。インフラ相互接続協力を進める場合も、「一帯一路」を構築する場合も、相互信頼を構築することにより大きな力を注がなければならない。

   相互信頼の基礎は、歴史を尊重し、歴史を鑑とすることであり、各国が平和発展の道を歩むことであり、国連憲章と平和共存五原則を守ることであり、それぞれのコア利益と重大な関心事を尊重することであり、誠実に対応し、学びあい助け合うことだ。

   中国には和を尊ぶ文化理念、善隣友好政策を推進してきた歴史があり、外交における言行一致の伝統もある。マレーシアのマハティール元首相はかつて「600年あまり前に当時世界最強の船隊を率いて東南アジア国家を訪れた鄭和は、その後の西側植民地主義者と異なり、素晴らしいものと真の友好を携えてきた。東南アジア人民は鄭和に感謝の気持ちを持ち続けており、マレーシアは『鄭和協会』を設立し、中国とマレーシアの貿易と投資を促していく」と述べた。

   相互信頼と互恵を促す精神は、中国が打ち出した「一帯一路」イニシアチブの中に十分に具現されている。中国の指導者も「一帯一路」の構築では「親・誠・恵・容」の外交理念を貫き、他国の内政には干渉しない姿勢、地域問題の主導権を求めない姿勢、勢力範囲の拡大を回避する姿勢を貫いていくと表明している。「一帯一路」は開放された協力のイニシアチブであり、経済協力と人文協力を主軸としており、閉鎖的なグループをつくることもしないし、既存の多国間の仕組みを妨害するようなこともしない。アジアの大陸と海洋は非常に広大で、アジア人の心は寛容だ。我々は開放された地域主義を貫き、協力に関するさまざまなイニシアチブと仕組みが役割を果たし、互いに好ましい影響を与えるようにし、連動して発展するようにすべきだ。

   「一帯一路」の構築はユーラシア大陸国家の相互信頼と互恵を深めることになるだろう。習近平主席が語っているように、政策面における意志の疎通、道路の相互連絡、貿易の円滑化、通貨の流通、国民の相互理解が「一帯一路」の重点であり、非常に全面的なもので、大きな操作性も備えている。

   古代シルクロードは商業貿易の道で、現代のシルクロードの構築も経済貿易協力を重要な地位にすえている。昨年の中国と「一帯一路」沿線国家の貿易額は1兆ドルを超え、中国の対外貿易の4分の1を占めた。過去10年間、中国と沿線国家の貿易額は年平均19%増え、中国の対外貿易の年平均伸び率を4ポイント上回った。今年も増加する余地を持っている。例えば、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の貿易額は2020年までに1兆ドルに達する見込みだ。

   今後5年間、中国は10兆ドルの商品を輸入し、対外投資は5000億ドルを超え、中国人海外観光客は約5億人に達する見込みで、中国の周辺国家およびシルクロードがまず恩恵を受けることになる。「一帯一路」の構築では中国は沿線国家との連動発展戦略を推進し、貿易・産業・投資・エネルギー・資源・金融・生態環境保護協力を進め、都市・港湾・通関地・産業パーク分野の協力を深め、新しい経済成長分野を育て、現地の雇用創出を支援、現地の持続可能な発展能力づくりを強化し、中国と沿線国家の共同発展を実現していく。

   当面の「一帯一路」計画とアジア地域協力では、インフラ相互接続が優先される。交通施設とインフラ分野のハード関連の接続はすでに始まっている。昨年12月、雲南省の昆明とタイのバンコクを結ぶ、メコン川をまたぐ大橋は接合しており、中国側が供与した無償援助がこの建設に重要な役割を果たした。このプロジェクトが収めた成果は中国、ラオス、タイが共に努力した結果で、3カ国の末端市民に幸せをもたらし、瀾滄江~メコン川流域協力を促すことにもなった。

   ギリシャのピレウス港にある中遠集団のコンテナ埠頭の運営は順調に進んでおり、中国とハンガリー、セルビア、トルコは鉄道を共同建設し、中国とロシアは数本のユーラシア・ランドブリッジ(大陸横断鉄道)を建設し互恵とウィンウィンをもたらすモデル計画について検討しているところだ。ユーラシアの交通ルートと大市場を建設する青写真はすでに実施段階を迎えており、古代シルクロードは青春の輝きを放っている。

   政策・法律・規制・人的資源開発などハード面の接続も同時進行している。中国とASEANは自由貿易圏のバージョンアップをはかる問題を検討しているところで、上海協力機構(SCO)は国際道路輸送円滑化協定の調印を促し、中国と周辺国家の品質検査協力と税関協力は制度化の道を歩み始めている。困難に直面している人々に援助の手を差し伸べている中国は、建国後食糧の自給を目指している東ティーモールのため、交雑水稲モデル事業を3回にわたり推進し、現地が重点問題を解決するのを支援した。華為公司は中央アジアと東南アジア国家のため数千人にのぼる通信分野の専門人材を養成し、現地で高く評価されている。

   私は特に「心聯通」問題(心と心を結ぶ問題)に触れておきたい。中国には「友人になるには、相手を知ることが大切で、相手を知るには、心を知ることが大切だ」ということわざがある。複数の外国人中国語学者が語っているように、細心の注意を払いながら中国人の複雑で微妙な文化と考えを体得すれば、中国人に対する親近感は深まる。中国と各国が共同建設した孔子学院と相互開設した文化センターは中国と世界各国の交流を促す重要なプラットホームになるだろう。

   「心と心を結ぶ」方法はたくさんある。

   1、人と人の接触を増やす。多くの偏見と誤解は理解不足とわだかまりがもたらしたもので、恨みがもたらしたものではない。「百聞は一見に如かず」で、野良に出て観察し、地元民と話してみれば、まったく新しい感覚が生まれる場合が多い。隣国同士は、指導者も一般市民も相手国を訪れるべきだ。訪れる回数が多ければ隣人との距離は縮まり、親戚との距離も縮まる。

   2、文化・芸術・考古・スポーツ・衛生など人文分野の協力を推進し、地方・メディア・シンクタンク・青少年間の交流を強化する。青少年は世界とアジアの未来であり、青少年による交流の強化を奨励・支援すべきだ。この交流の重要性はいくら強調しても強調し過ぎることはない。

   3、他国の言語を学ぶことを重視し、留学生交換の度合いを強める。他国の言語を学び、修めることは、それぞれの文化についての理解を深め、意見の食い違いを理性的にとらえ、寛容と友好の姿勢を貫き、他人や他国と付き合うことに有益だ。

   4、文化の持続力と集中力を保つ。シルクロードは一日にして完成したものではない。文化の交流と融合、心と心を結ぶことを一朝一夕で実現することはさらに難しく、長い過程が必要だ。しかし我々が揺るぎない信念を抱き、努力を重ねていけば、事業を成し遂げることは必ずできる。

   紳士淑女の皆さん

   アジアにおける過去の激変の歴史とシルクロードの盛衰は緊密な関係があり、アジア全体の未来の振興とシルクロードの復興を融合させ、並行して進めていかなければならない。「一帯一路」はアジアの大家庭の問題で、関係国と中国が同じ席に座って討議し、共同で建設し、共に恩恵が受けられるようになることを望んでいる。我々は高遠な志を抱き、足を地につけ、協力の盛挙を推進し、「一帯一路」の構築にしっかり取り組んでいこう。

   ご清聴ありがとうございました。

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